6月9日=ロックの日。
キングブラザーズのライブを初体験した(遅すぎて、かなり後悔…)。
山口冨士夫の円熟味あふれるブルージーなライブが終わると、キングのメンバーがサウンドチェックのため、ステージに現れた。
リーダーはニルヴァーナのTシャツを着ている。髪の毛もスッキリしており、夏のロック少年のような雰囲気。
一方、マーヤは赤いパーカー姿。なんか、かわいい(笑)。
数週間前、N’夙川ボーイズのライブ前のサウンドチェックでも、たしか同じパーカーを着ていた。お気に入りなのだろうか(笑)。
2人とも無表情でギターやアンプをいじっている。
会場全体が、嵐の前の静けさのような緊張感に包まれている気がした。
客電が落ち、メンバーが登場!
会場の空気が一瞬で変わり、熱を帯びる。
「いこうぜ下北!」
細身のブラックスーツ&ネクタイで決めたリーダーが叫ぶ。
1曲目は「★★★」。ギターリフ一発で会場がスパークした。理屈抜きにカッコイイ曲。
個人的に、キングの曲の中で一番のキラーチューンではないかと思う。ロックンロールのカッコよさのすべてが凝縮されているような、そんな曲。『星盤』を初めて聴いたとき、秒殺でした(笑)。
それと、10年以上前の曲なのに、今でもライブのド頭で演奏できるっていうのは、バンドのコンセプトにブレがない証拠なんだろうな〜と感じた。
マーヤを見ると、腕と脚の関節をカクカクさせたような不思議な動きをしている。カラクリ人形のようでおもしろい(笑)。
2曲目は「Kill your
idol」。やや変則的なリズムの曲だった気がする。
「お前のアイドルをズタズタにしてやるぜぇ!」みたいなフレーズをリーダーが歌っていた。これもテンションが上がる曲だ。
3曲目は……わからなかった(リスナー歴が浅いので、すみません)。
でも、会場がすごく盛り上がっていたので、ライブの定番曲なんだと思う。このあたりからダイバーも出現してたし。
そして、リーダーは「踊れ!踊れ!」と絶叫。会場には中2階のようなスペースがあったのだが、「2階席もサボってんじゃねーぞ!」と一喝。
2階席の客を見ると、みんな「待ってました」みたいな顔をして笑っている。このへんのやりとりは、お約束になってるんだなぁと思って、なんだか和やかな気持ちになった。
この光景、毒蝮三太夫がお年寄りに向かって「このクソババア!」とか言って、会場が盛り上がるのに近い気がした(笑)。ちょっと違うか。
4曲目は「XXXXX」。好きな曲だ。この時間がずっと続いてほしいなと思った。
曲の途中、リーダーのマイクから音が出なくなるトラブル発生。その瞬間、マイクスタンドごと思いっきり蹴り倒していた(コワッ…でも、カッコイイ)。
マーヤは黄色いギター(新ギター?)を弾いていた。ブルーのギターと、たぶん同じメーカー・形だと思う。似合っていた。この人、原色が似合いますよね。
そして、5曲目「マッハ倶楽部」。
間奏中にリーダーがアンプの上に登り、客に背を向けて仁王立ち。
スーツのラインが綺麗。素材も上質な感じ。イタリアとか、ヨーロッパのブランドなのかなと思った。ランブレッタに乗ってるみたいだし、いろいろコダワリが強そう。
絵になる伊達男ですね。グレッチのギターも似合ってたし。
そんなことを思っていると、マーヤがマイクを持ってしゃべり出した。
このサイトでよく出てくる「マーヤタイム」とはこのことですね、きっと。今日は何を叫ぶのか? 注目していると…
マーヤはジャケットの左右の襟を両手でつかみ、それをパッと開いて胸を見せ、「オーラがないっ!」と言った(笑)。
その後、同じ動作とフレーズを繰り返していた。
もしかして……この日のイベントは、山口冨士夫とか、外道とか、日本のロックをつくったといわれる人たちとの競演だったので、そういうレジェンドな人たちと自分を比べていたのだろうか…?
でも、ステージ上のあなたは、尋常じゃないオーラがありましたよ(笑)。
客席にダイブして、神輿みたいな状態で客席を移動してたときは、この人、イギー・ポップみたいだな〜と思ったし。
そして、「オーラがないっ!」の最後には、「でもっ、オーラをつけるためにっ、毎晩がんばってるぅ〜!」みたいなことを叫んでいた(笑)。
このあたりの謙虚さというか、真面目さというか、それもマーヤの魅力だと思う。
その後、「ロックンロールで完璧さっ!!」と締めのスクリーム。すべてのロックファンにとって、ホントに勇気づけられる名言だ(笑)。
辛いことがあったときに思い出すと、元気になれそうな気がする。
曲が終わると、リーダーがいきなりバスドラを持って中2階へ。そして、狭い中2階のスペースに4人が集まり、フィナーレの曲「ルル」を演奏。
床演奏(って、このことですよね、きっと)、初体験。メンバー、音、観客の一体感がすごかった。
周りを見ると、みんな笑顔で、汗だくで、誰もが「ロックが好きでよかった」と思っているような空気を共有できた。幸せな時間だったな、本当に。
それから、ニシノミヤコールも初体験。地名を大声で叫んだことなんてなかったな、今まで生きてきて(笑)。
西宮ってどんな街なんだろ? リーダーとマーヤの出身地ということは、ロックやブルースの磁場があるのかも…。
さらに、床演奏でメンバーと客が入り乱れるカオス状態のなか、マーヤの黄色いギターをいつの間にか客の男の子(イマドキのかわいい子だった)が弾いていた。
その子をマーヤが手招きし、顔を寄せ合い、キス(笑)。
ソフトだけど、気持ちが入っているような、そんなキスでした(笑)。
最後にリーダーが叫んだ。
「ほんまもんのロックンロールっ! 山口冨士夫、キングブラザーズ、外道!」
そう、これはこの日の出演順。ロックンロールのマガイモノに牙をむき、ホンモノのロックンロールを鳴らしつづけるリーダーの心の叫びだったと思う。
このフレーズを何度か繰り返し、外道というときに
「げっ、げっ、げっ、げっ、外道!」
と叫んでいたのもご愛嬌(笑)
キングブラザーズ初体験は、すごく濃密な時間でした。最高にカッコイイ、ロックンロールバンドだと思った。
けど、それだけでなく、ちょっと異質な芸人集団というか、パフォーマンス集団のようなニオイも放っていた。
王道で本物のロックンロールやブルースに、変態性(いい意味のものですよ)や異端性がブレンドされている。これがキングブラザーズの最大の魅力なのかな、と思った。
その魅力をもっと体感するため、今度はワンマンに行ってみよう。 |