1999年 12月17日 名古屋クラブクアトロ |
私はこの日はボスホッグを観にいった。 しかも金が無いという惨めさのため、ロッキンオンのチケプレに賭ける事にし、くだんのハガキに「クリスティーナを見て女の私が鼻血を出したいのでチケットをくれ!」と書いた。 まんまとあの編集部のツボをついたようでチケットは送られてきた。しめしめ。ってな訳で入場するが友が「あれ?あのセットってボスホッグのじゃないよね?前座があるんじゃないのかな?」別の友が「ジョンスペは絶対に前座つけるよね」ふむふむ。 で、出てきたバンドは!・・・キングブラザーズだった。 私がこの時点で持っていた彼等の情報とはどっかのインディーもんばかり置いてるようなCD屋で見た手書きの「ブルースで殺してやる!」の一文のみ。 その時の私は「えらい大胆な事いうなあ」と少し笑っていた。大体が、この手のデカイキャッチつけるバンドって「そうかあ?」って事が多いだろ、と。 ただし物凄い迫力の「キングブラザーズ」という筆ペンの文字は目に焼き付いた。 その時は名前も知らなかったが、ケイゾウは出てくるなり客を罵倒し、演奏が始まった。 自己紹介もアナウンスもない。ただ有無を言わせぬ迫力で客を睨み付け、ギター2本とドラムのみで轟音を撒き散らしはじめた。 私は確信した。「奴等だ!!! 絶対に奴等に違いない」大袈裟どころか、キャッチしか知らなかったのに目の前のバンドは、その大胆なキャッチと完全に一致したんである。こんな事は初めてだ。 私は思わず「カッコイイ!」と叫び、それを聴いたか?後ろに居た知らない子が、私に「彼等だれ?」と尋ねてきた。とっさに私は知りもしないくせに「キングブラザーズだと思う!」と返事していた。 ・・・きっと開場の何時間も前から並び「やったわ!最前列よ」と思っていたであろう女子は、マーヤが噛み付かんばかりに、唾を飛ばし最前列手すりに足をかけ姿勢を低くしてくるので(白目だし)完全にビビリ、最前から次々と脱落する。ちゃっかり私が最前へ。 マーヤ、そしてケイゾウがフロアへ飛び降りて来て、客を追い掛け回す。 特にマーヤは女の子を、クアトロの一番端っこまで追いつめてしまって怒鳴り散らす。マジで泣いている子もいる。 「いやー」という女の子の悲鳴が響いた。 しかし、私はすっかり殺られていた。カッコええ!! ステージではアフロのジュンが裸で力一杯叩き続けている。 ・・・私は若くない。自分自身がパンクの洗礼を受けてスッカリと命を助けてもらった(笑)人だ。 そんな私は彼等の事をホンモノのパンクバンドだと思った。「もどき」ではない。 スケボー少年のBGMなどに成り下がっているものはパンクなんかじゃないとは以前に別の媒体で書いたので割愛するが、私は感動したのである。 日本にこんな凄いバンドが居た。嬉しくなってしまった。私が愛してやまなかった遠藤ミチロウのスターリンを思い出した。音は全く違うけれども。 ・・・最前のてすりに手をかけつつ、横向きになって、目の前で歌うケイゾウを観ていた。若い。下手すると10代か? だがこの直向きさは若さだけじゃ出てこない。 「名古屋、情けねえぞ! 逃げ回りやがって」。 すっかり彼等に魅了されながら私は思った。 彼等はライブで殴られたりする事があるだろう、非難される事もあるだろう。だがこのスタンスは変えないに違いない。ってか、絶対に変えるな!(笑) 「もっともっとやれ!」って、最近の私らしくない(??)テンションで叫びたくなったが、つい我慢してしまった。 それじゃ当たり前すぎて彼等に失礼な気すらしてしまって。ホントに凄い奴等を知ってしまった。 曲名は後から“みな殺しのブルース”だとか“八つ裂きブルース”を演奏したと判ったが、どれもこれもかなり印象的。 ラストは“愚痴たれんなよ”。吐き捨てるように曲を終わらせると、ぶっきらぼうに、叩き付けるように「もう終わり!」と叫んでサッと袖に引き上げてしまった。 引き際まで完璧にキマッていた。 セットチェンジが始まる。 |
☆管理人から一言★ ぎゃははは!面白すぎ!!客を追いかけまわすマーヤが目に浮かぶ〜(笑) きものさんの興奮が伝わってきます!! |